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不妊症について


生殖年齢に達したカップルが正常な性生活を行っていて、避妊をしていないのに1年間妊娠しない状態が続いている場合は、不妊症と診断されます。不妊の原因は、必ずしも女性だけの問題ではありません。
不妊症の原因は様々あり、大きく分けると原因が女性にある「女性不妊」、男性にある「男性不妊」の2種類で、男女ほぼ同じくらいの割合で不妊の原因となりうると考えられています。
妊娠を望まれるのであれば男性パートナーの協力も不可欠です。決してお一人でお悩みにならないでください。


検査について

まず、妊娠の妨げになっている原因を調べる必要があります。
検査は月経周期に合わせて行い、不妊症の原因が推定できれば、それに対応して治療方針を立てることが可能です。
当クリニックで行う主な不妊検査は以下の通りです。

 1. 問診

月経の状況や過去の妊娠・出産、既往歴(過去の病歴)、日頃の生活習慣などについてご質問いたします。

 2. 内診・経腟超音波検査

子宮や卵巣を診察します。押して痛い箇所が無いかを診たり、超音波で子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫などの病変が無いかの確認を行うなどします。

 3. 子宮卵管造影検査 

X線透視を行いながら子宮の形を見たり、卵管の閉塞の有無を調べたりします。
 聖隷浜松病院で受けていただきます

 4. 血液検査

血液を採血して、ホルモン検査や糖尿病などの全身疾患に関する検査を行います。

 5. AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)

卵巣の予備能(潜在的な予備能力)を調べる検査です。
卵巣内の発育過程の卵胞から分泌されるホルモンで卵巣予備能のマーカーとして有用な血液検査です。
卵巣に残っている卵子の数を推測する指標の一つですが、妊娠するかどうかはAMHよりも年齢や卵子の質が重要なので、妊娠率と直接は関係しません。
AMHは20代前半をピークとして加齢とともに低下します。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性ではAMHは高値を示し、排卵誘発剤による卵巣過剰刺激症候群をおこすことがあるため、体外受精では薬の刺激方法の参考となります。
一方で、AMHが年齢に比較して低い人で、挙児希望がある場合は体外受精を含めた不妊治療を積極的に検討するのが推奨されます。(AMHが低くても卵の質や年齢が若ければ自然妊娠の可能性はあります)

治療法について

綿密に検査を行った後には、いくつかある不妊の治療法の中で最適と思われる不妊治療を行うことになります。
主な治療法は次の通りです。

① タイミング法

基礎体温表や超音波検査で排卵日を予測し、排卵日前後に性生活を持つことで妊娠を目指す治療法です。
不妊検査で目立った原因が無い場合にタイミング法が行われます。

② 排卵誘発法

卵巣を刺激し、排卵を起こさせる方法で、内服薬と注射があります。
排卵誘発法は、排卵障害がある場合だけでなく、原因不明の不妊などに対しても有効です。通常は排卵の無い場合に排卵を起こさせるために使用しますが、人工授精の妊娠率を上げるためや、体外受精などの生殖補助医療の際にも利用されることがあります。

体外受精が必要と判断された場合は他院をご紹介いたします。

③ 人工授精

排卵のタイミングに合わせて精子を人工的に子宮内に送り込み自然な妊娠を期待する方法です。
女性の卵管が通っていることが条件で、精子の運動性が悪かったり数が少ない場合や子宮頚管粘液が少ない場合に行われます。